〜 コロッセオ 〜


世界の重要文化財の40%はイタリアにある。それはとてもすごい事だ。
この国自体、もう 一つの重要文化財と言っても過言ではないくらい、
イタリアは何処もかしこも見所満載だ。

今までいろいろ見て来て、その綺麗さ、繊細さ、細部までのこだわり、
そして、建設機器もまだろくに無い時代にもかかわらずの建築の凄さ・・・。
等など色々な驚きはあったが、ここコロッセオでは、とにかくその大きさに
目を見張った。

近くからではとても視界に収まらない。
ある程度離れて見ないと、その全景は見渡せなかった。

なにせ、コロッセオは横からでは判らないが、実は楕円形なのだ。
そしてその長辺は187M、短辺は155M、そして外壁の高さはなんと、
50M以上もあるのだ。

紀元72年にヴェスパシアヌス帝が着工した円形競技場で、その8年後に
彼の息子ティトス帝が完成させた。

入場料の12,000リラを払って中に入った。
中はまるで、巨大なルーレットゲームのルーレットの様な形だ。

約5万人もの人口を収容する事が出来るこの円形競技場は、一階は大理石造り
(今は大理石の影も形も無くなっていたが)のVIP席、
二階は木製の席の一般席、三階は立見席となっていた。
地下では、競技に使う猛獣や剣闘士、囚人などを収容していたらしい。

ここでは約300年もの長きに渡り、人間と獣による殺戮が繰り広げられていた

その殺し合い(いくら競技とはいえ・・・)は、その当時のローマ人にとって
最大の娯楽であったようだが、剣闘士や動物達の犠牲の多さを考えると、
私にはとても恐ろしい光景に思えてくる。
それを当時のローマ人達は笑いながら観戦していたなんて・・・!!!

この競技場を建築する際にだって、多分 相当な数の囚人や奴隷達が強制労働さ
せられ、命を落としていっただろうに。
そんな人の命を犠牲にまでして造られた競技場で、またしても殺戮が繰り返され
ているなんて身震いがする・・・。
イタリア人が血の気の多いのは昔からのようだ・・・。


・・・ちょっと白熱して語ってしまったが・・・、気を取り直してコロッセオを
出てその周囲に注意を向けると、ローマの観光名所には必ず警官がいるのだが、
警官がいるところには必ず馬も一緒にいることに気付いた。しかも馬は全て白馬
だった。
美観を損ねる為 パトカーは名所内に入ってはいけないからなのか、
馬が警察官達の脚になっているようだ。

パトカーよりもお馬さんの方が、確かにこの風景に溶け込んでいて良い感じだ。
そういえば、馬車まで走っていた。

所々に剣闘士の格好をした男性が立っていて、『一緒に写真を撮りませんか?』
と声を掛けて来る。
添乗員さんの話によると、バカ高いからOKしない方が良いとの事だが、
ここに来なきゃ撮れない写真な訳だから、ある意味 貴重なものになるんじゃな
いかっと思ったが、値段を聞かなかったから何とも言えない。聞いとけば良かった。

そう言えば、余談だが・・・・。
コロッセオの裏の方に階段があって、その下に公衆トイレがあって、入った。
私の方が先に出て、友人が出てくるのを待っていたのだが、彼女は青い顔をして
出て来た。

どうしたものか?と聞いたら、トイレの鍵が壊れてて、入ってる最中にイタリア
人のおばさんに思いっきりドアを開けられてしまい、あられもない姿をバッチシ
見られてしまったと肩を落として溜息をついていた。
またか・・・。この国は建物の修復作業が忙しくて、トイレの修理まで手が回ら
ないのであろうか?


やはり、いくら歴史の授業でローマを勉強しても、実際来て見てみないことには
今一ピンとこないだろう。
今回、教科書の小さな写真でしか見たことのないコロッセオの前に立って、
改めて社会の授業を受けてみたくなった。