マンマミーヤ!なイタリア旅行記〜プロローグ〜




私はこの秋、かねてから念願であったイタリアへ6泊8日の貧乏旅行に出掛けた。
行ってからも色々あったが、行くまでにもいろいろな事があったのでプロローグ
としてここに記しておきたいと思う。

今年に入ってから情緒不安定な日々が続き 精神的に疲れて、毎日ひねくれた生活を送っていた私を見兼ねた友人A子が、
「Kasayuki、前からイタリアに行きたいって言ってたよね。行こうか、10月あたりに」と声を掛けてくれたのだった。

貯金ゼロだった私は本来なら『お金が貯まったらね』っと断っていたと思うが、
自分でも『来る日も来る日も、こんなストレス 体に良い訳が無い!』と思っていたので、『ここはいっちょ、旅行でもして心機一転を計ろう』と思い立ち、即OKして話を進めた。

新宿にタムロしてらっしゃるダンボールベットのオジ様達より、多分 遥かに貧
乏な私は極力お金を使わないよう心掛け、
昼はバイト先で余ったパンの耳と水だけという、我ながら可哀相な昼食を約2ヶ
月間続け、買い物虫がうずかないようにデパートやブティックなどへも行かないようにした。
『服、ちょっとだけ見ようかな。見るだけ、見るだけね』・・・この行動が知らないうちに財布の紐を緩めさせ、後々絶対後悔する事になるのだ。(どうせイタリアに行ったらブランド物が激安で買えるじゃないか!)

我慢の成果と激安ツアーであった為、何とか旅行の日までにお金は貯まり、
『さー、あとはパ〜〜〜〜っと旅行を満喫するだけだわーーーーーーーーーーー
ー!!』っと思っているところへ
何と何と、持病の腰痛が悪化して遂には椎間板ヘルニアになってしまったのだ!!(一時期、痛くて座る事も出来なかった)
しかもそれに追い討ちをかけるように、これまた持病の顎関節症の症状まで出てしまい口が開きずらくなるという最悪の状態に陥ってしまったのだった。

何故、よりによって旅行前にこんな事になってしまうのか・・・。まるで私の体
の中の病源体が全員集合して一時的に手を組み、
なにも今じゃなくてもいい病気を早くに悪化させて、私を旅行に行かせまいとし
ているかのようだ。
同じ私の体の一部なのにこんな時に全然味方になってくれない・・・。
私の心はお日様ポカポカ快晴の五月晴れから、ジトジト6月の梅雨の天気へと見る見る変貌していった。
しかし旅行までまだ日にちはあったので「それまでに絶対治してみせる!!」と
叫び、医科歯科大と整形外科に通い始めたのだった。

腰は《頚椎吸引》という名で上半身固定して腰にベルトを巻き、ググッっと引っ
張って背骨、腰骨を伸ばすというリハビリをし、
お医者から「仕事の時は常にこれを装着するように」と言われ、更にコルセット
まで買う羽目になってしまった。
一方、歯科大の方で私は医師から、全く予想外な事を言われビックリした。それ
はこういう会話だった。

医)「う〜ん。確かに顎も心配だけどそれより何より右下の奥歯の歯茎の中に膿
が溜まっているから、まず早いうちにそちらの手術が必要です」
私)「・・・えっ?手術ですか・・・?・・・でも私一週間後に旅行に行くんですけど〜・・・」
医)「じゃ、旅行から帰ったら手術を受けてください。とりあえず化膿止めと痛
み止めの薬を出しときます」

私は薬を渡され、『トホホ・・・』と病院を後にした。 
病院代やコルセット代等、まったく予定外の出費である。私の涙ぐましいパンの
耳生活はこの為だったのか・・・?悲しすぎる・・・。


かくして・・・腰も顎も歯も治せたわけではなく症候状態を保ちながら旅行の日
となり、私は腰をコルセットでギュウギュウに固定し、
痛み止めの薬をスーツケースに忍ばせながらも、気分一新してイタリアに向けて
元気に成田国際空港を飛び立ったのであった。

憧れの地、イタリアでの最終日に更なる災難が降りかかる事になるとは知らずに
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