激甘アイスコーヒーとクールなカプチーノ
イタリアはさすがカフェが多く、(昔からあるレトロな、それでいて時代遅れを
感じさせないお洒落で上品なカフェから、
真新しい感じのカフェまで様々)何処に入ろうか迷ってしまう。
暑い季節なら、外にテーブルが置いてあるオープン・カフェで足を組み、タバコ
を吸い(吸えないけど)ながら優雅に
エスプレッソ等飲みたいところだが、10月のイタリアは日本と比べ割と気温が
低く、秋と言うよりはほとんど初冬に
近いぐらいだったので、外でのコーヒーブレイクは断念せざるを得なかった。
この旅では、「本場のイタリアン・カプチーノをガンガン飲みまくるぜ!」とい
う私だけの大きなテーマがあり、
ツアーの合間の休憩時間を見計らっては、近くのカフェに足を運んでいた。
イタリアン・カプチの初飲みは『最後の晩餐』の美術館の近くにあるカフェにて
。
店内は縦に細長く、入るとすぐ目の前には大きな鏡があり(その裏はキッチンな
のでもしかしたらマジック・ミラーかも)、
入り口に4席ほど、店内中央にはカウンターとキッチン、そしてそのまた奥には
7席ほど置かれていた。
壁は真っ白で、背の高い天井には60年代のアメリカを思わすような大きなプロ
ペラ(換気プロペラ?)がゆっくり回っていて、
それによって店内の時間も非常にゆっくり流れているような、アンニュイな雰囲
気に包まれていた。
入り口付近は窓が無く直接外に面している。(一応、店内にいるのでオープン・
カフェではないが)
寒すぎず、程よい初冬の風が入ってきて何とも心地が良い。わたし達はその入り
口付近の席に落ち着いた。
赤茶色の短い髪にクルクルパーマの若いウェイトレスが注文を取りに来た。
わたしが「カプチーノ」と言うと、「あぁ、やっぱり・・・」と言いた気な顔で
頷いた。
イタリアに来る日本人はそのほとんどがカプチーノを注文するらしい。あるいは
エスプレッソ。
彼女は全く愛想の無い店員であった。同業者として「それじゃいかん!!!」と
、喝を入れたかった。
無言のままウェイトレスが去った後、再び店内を見回してみた。
わたし達の席の後ろには、男2女2の若いグループが楽しそうに語り合っている
。(大学生ぐらいだろう)
あとは平日ということもあり、年配カップルやオバサングループがその大半を占
めていた。
カプチーノが運ばれてきた。友人はアイスコーヒー。
「どれどれぇ〜」と先ずスチームしたミルクをズブズブと啜ってみた。
「う〜ん、マイルド〜、おいちい!!」
日本のよりきめが細かく、ホワホワとしていて、まるで雲を食べている感じ。(
食べた事はないが)
「ではでは、その下のコーヒーは?・・・ズズッ・・・あれ?ズズズッ・・ゴク
ゴク・・・・」
これがまたなんともヌルイ!人肌どころではない。お湯のゆの字も無い。猫舌の
わたしでもイッキが出来る。
そうなのだ。どのカフェテリアでも出てきたカプチはメチャメチャぬるかった。
ミルクの部分はあんなに美味しいのに、これではすべて台無しである。(逆に日
本のは熱すぎて何度も舌を火傷した)
しかし温度はともかくとして、味は最高だった。
砂糖を入れてないのにほのかに甘く、コクがあって、シナモンもしつこくないし
後味もさっぱりとしている。
コーヒー独特のあの後味の悪さが全然無いのには驚いた。
イタリア人はグルメな猫舌なのだろうか・・・。
一方、アイスコーヒーを一口飲んだ友人は無口になっている。何事かと聞くと、
彼女は「もう飲めない・・・」と呟いた。
「えっ、こんなメジャーなもんに当たりハズレなんてないだろうよ」と言い一口
拝借した。
「こっ、これは・・・!」
舌がとろけるほどの激甘である。喉が焼けた。味も香りもへったくれも無い。は
っきり言ってマズイの一言だ。
コーヒーは何処?本当に入ってんの?これはコーヒー風味のガムシロップじゃな
いのか!?いや、風味すら感じんよ!!
・・・2人とも無口になった。口直しに飲んだ私のカプチは、とってもとっても
おいしかった。
イタリア中、すべての店のアイスコーヒーがこんなのではないと思うので一概に
は言えないのだが、とりあえず・・・。
もし、イタリアに行ってグラツィエ教会側の喫茶店に立ち寄る事があったら、よ
っぽどの甘党の方以外はアイスコーヒーを注文しない
方が良いという事を、この場を借りて忠告したい。(激甘地獄に陥ります。)
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