〜人生の移り変わり part2〜





そう、私はその時に初体験をしてしまった・・・。そのときの細かい話をここで書くのは
やめておくが、してしまった。しかし少しだけ内容をお話するとそういう行為に及んで相
手の彼は気づいてないのか、はたまたそういうのもへっちゃらなひとだったのか私が男だ
というのを指摘されなかった。しかし最後に送ってもらう車の中でもう着きそうなとき、

「もしかしておまえ男か?」と聞かれた。私はドキッとして「えっ、なんで・・・?」と
聞いたら彼は「ブラからティッシュはみ出てるよ」と言った。ほんとにあせったがとっさ
に私は
「胸がないから気にしてるのに何でそういうこと言うの?」と逆ギレしその場を切り抜け
た。そして私は1万円をもらって走って帰った。たった1万円というお金で買われたのだ。

そのときは平気だったが、年をとるにつれてそれが後悔の念として現れてきた。
しかし悲しみはそれからだった。翌日私の友達は昨夜の私の出来事をクラスの何人かに話し
てしまった。その年代だ、話が全校中に伝わるのに時間はかからなかった。クラスメイト
にはそのときの事細かな状況を聞かれ、何度も何度も違うクラスからも来て私は好奇の目
にさらされた。しまいには下校途中、下級生にも後ろから「おかまーー」などと言われた。

私は冗談じゃないと思い、「もう一回言ったらぶっ殺す」などと言ったり、時には学年関
係なくヤキを入れたりしてた。

しかし私はふさぎこんだ。もちろん私のした不純な行動には何を言われても仕方ないと思
ったが私の性やアイデンティティーにまで踏み込まれる筋合いはないと思った。そんなあ
たりから私は人を見る目が養われたと思う。真の友達に対する考え方もだ。人は手のひら
を返したように豹変するということを知ったから二度とそんな思いはいやだと思い、自己
防衛のために研ぎ澄まされたのかもしれない。

次に話は一気に飛ぶが、私は17歳のときに初めて夜のお仕事についた。この頃に今の私
の人格その他が形成されたといっても過言ではないと思う。

そのお店はいわゆるオカマバーではないけれども、普通のカッコをして私たちの独特の言葉
を駆使してお客さんを喜ばせるという商売で「コミックバー」とも呼ばれていた。そこで
私は世の中にはいろんな人がいることを知ったような気がする。客は普通の会社員、OL、
ヤクザ、夜の商売の人たち、テレビ局関係者、芸術家、風俗嬢、タレント、その他いろんな
人々がいた。そして私は泣かされたりいじめられたりもした。しかし、同時に喜びも与え
られた。お客さんがお店に入ってきた瞬間、「シェリーちゃん!!」と私のことを呼んで
くれる。ママが前に言ってた。「シェリー、この世界はね、お店にきた瞬間名前を呼ばれ
た者勝ちなのよ」と言っていた。だから毎日私は幸せだった。

そして私が最も幸せだったのは私が人に喜びを与えられるということだった。悩んでたこ
とが解決したとか、今日はすごく楽しかった、また来るね。と言われた日はこの上ない喜
びだった。とにかく自信と人に対する愛情が養われた期間であったことに間違いない。
ちょうど同じ頃、私はある人に恋をした。
その恋は私を熱くさせた片思いだった。恋愛の涙をたっぷり流したのもこのときだった・・・