黄金週                                        



 この間私は自分を見つめ直すきっかけがあった。果たして、見つめ直せたか
どうかは別としてお話しよう。

 先日の”黄金週”、ゴールデンウイークのことだ。私は腐りかけていた、というよりは腐りきっていた、という方が正しいようである。ゴールデンウイークが始まる直前には、私にもひとときの夢があった。普段行けないようなところへ行き、会えない人に会い、あーしてこーしてとそれはもう夢あふれるほどだった。

 しかし、現実はそうそう私には味方をしてくれなかった。それどころか、悪魔
と友達にさえなってしまった。ほとんどは寝ていた。眠りっぱなしだった。

 もし仮に、ゴールデンウイーク期間だけで寝てればお金をくれるバイトがあれ
ば、間違いなく小銭を稼げただろう。 それでも、いい夢が見られたのなら寝
たことに悔いは残らなかっただろう。 けど・・・、 そんなの一度も見なかった!

 それどころか見たことのない知らないブサイクな小娘に、このわたしが罵られるというこの上極まりない夢を見た。何とも今でも気がおさまらない。

 それに加えて家ではひと騒動がおこった。父と妹が、久々にカレーライスを作っていた。(これがなかなかイケル代物だ) その最中、洗濯をしていた私が、洗濯機の不調を訴えた。 そして、家族でいろいろ手を尽くしてみたがダメだった。 
   
 脱水機が回転しなくなったのだ。 もう駄目だ・・・・。

 せっかくのなごやかな雰囲気もぶち壊しだ。父はと立ち尽くしているし、妹は妹で、今まで8年間も使用した二層式の洗濯機にあっさりと別れを告げ、新しい全自動の洗濯機を購入することが確実となりルンルン気分でカレーのあくを取っているし、私は「なんでゴールデンウイークに手で洗濯物を絞らなきゃいけないの」だのぶつぶつ文句を言ってるし、本当に最悪の一日だった。 そう、なにひとつ良いことはなかったのだ。

 何がゴールデンウイークだ。 ひまをもてあますしお金はなくなるし、遊ぶ場所はどこも混み合っている。 多大な迷惑を私にかけ、のうのうとのさばっている。

 そして、これからも年に一回は必ず私を苦しめに訪れるだろう。
 国が勝手に休ませいるのだから、有効な利用法くらい教えてもらいたいものだ。

それに私が最初に漢字で”黄金週”と書いたのは、この意味を問いたいからだ。 
 一体誰なんだ!こんな単純で幼稚な和製英語を作ったのは。

 そして知りたい。他の人たちは、一体どのように楽しく時を過ごしていたのか。
         本当に腹立たしい。

(p) 1993.3