〜ないものねだり〜






私は欲張りなのだろうか・・・、いや欲張りではない。誰だって何でもほしいのだ。
でも、特に子供の頃の私はそれがひどかったかもしれない。
私は昔なんにだってなれると思っていた。よく小さいうちにはガッチャマンになり
たいだのひみつのアッコちゃんになりたいだの、マントをつければパーマンになる
だのほとんどの子供らしい子供は考えるものだ。でも、私のそれはすごいかもしれ
ない。

 もちろん、小さいうちはほかと変わりはなかった。しかし私のないものねだりは
小学校2年生にはじまった。その当時、“Dr.スランプアラレちゃん”が一世風
靡していた。私はアラレちゃんになれると思っていた。そう本気で思っていたのだ。

毎日学校から帰ると6時間首を取る練習をしてた。アラレちゃんは、毎朝寝てると
き胴体と頭部が分かれ、首はベッドの下に落としたまま気持ちよさそうにグーグー
寝ていた。それに感銘を受け、最初は軽く頭を上のほうに持ち上げるのを繰り返し、
しばらくするとかなりの力で引っ張りあげていた。それでもできないときは、「私
の努力がなりないんだ、私がもっと集中してればできるはずなのに・・・」と自分
を責めていた。火を噴くことや体をばらばらにすることくらいいとも簡単に行える
と思っていたのだ。それは4ヶ月間の集中特訓の末打ち砕かれた。

その他にも、魔女ッ子メグちゃん、ミンキーモモ、キューティーハニー、ゴレンジャー
にダイナマン、ドラマ部門ではコメットさん、不良少女と呼ばれてに出演の伊藤か
ずえの役どころ“モナリザ”、ヤヌスの鏡の大沼ユミなど数え上げたらきりがないほ
どそれぞれの特訓をつんだものだった。(わりかし大きくなってたのに、今から考
えたら病院もんだったわ・・・)

 それに、性別だって小学校6年生まで自分の念じ方次第でコントロールできると
信じていた。精神に強く働きかけることで体の突起物は消え、トンネル工事がなさ
れ、そのうち魅力的になり隣の2組の安本君からお声がかかると待っていた・・・
・・、無理だった。現実を思い知らされた、泣いた・・・。それどころか安本は1
組のともちゃんにとられるし、私の男の子の象徴は意に反して日に日に大きく育っ
てゆく。(身長も後ろから2番目・・・)あんときゃ打ちのめされた。人生の中で
もワースト5にランクインしているほどよ。でも当時はそんな心が私を育ててくれ
た。

じゃあ今の私は何なんだろう。世間一般で言われている“男”ではない、まし
てや“女”であるわけない。自分でだってそんなこと思っちゃいない。すると宙ぶ
らりんの状態?しかし、そんなことも着実に私を育ててくれてる。いろんなものに
興味を覚え、私の心をかき立て時には言い知れようもないくやしさまで味あわせて
くれる。

 私の人生ないものねだりの連続だけどそれもまたいいんじゃないかと思う。なん
たって生きる活力よ!ないものねだり心がなくなればあたしゃ干物よ!あ〜絶やさ
ないようにしなきゃ。もっともっとバネにしてやる。(う〜んこわ〜い)
 ともちゃん、いまにみてな!思い知らせてやるわ!オーホッホホホホ・・・(高笑い)